コンパウンドボウのチューニング

安全のため次の事を守る

1. 危険防止に最大の注意を払う(全日本アーチェリー連盟の「安全宣言」「安全マナー」「事故防止に向けて」を遵守する)
2. 絶対に「空射ち」しない
3. 矢の最低重さ(ピークウェイトの1 ポンド当たり5グレイン(0.324グラム))以下の軽い矢は射たない
4. 使用前には弓のネジ類の緩み、ストリング(弦)の損耗、矢の損傷、リリーサーの動作等を調べ安全を確認する

ボウプレスの使用:弓をボウプレスにかける時は、絶対にハンドルやカムに力を掛けないようにする (プロショップで行うのが良い)

NO 項目 推奨値など チューニング箇所など チューニング方法など 的迄の距離
弓の強さ(男性) 日本での公式試合はカム(滑車)特性のピーク値が60ポンド未満に規定されている(コンパウンドは狩猟用の弓として発展してきたものであるため80ポンド以上の弓もある) カムの形状によりアンカー時、ピーク値が60〜80%カットされる メーカー/モデルによって矢のスピードや荷重特性が異なるので自分に合ったピーク値の弓を選択する 最長90m
弓の強さ(女性) 最長70m
センターショット
矢をレストに載せつがえた時、弦とハンドルの中心と同じライン(センターショット)上にあることを確認 矢と弦とハンドルの中心が同一線上になること(センターショット) センターショットにない場合は、レストを左右に動かし合わせる ――
弦の太さ
自分に合った弦の太さを選ぶ 弦の原材料となる原糸の太さ(デニール数)は素材によって違うため、原糸の種類によって望ましいストランド数は異なる 弦が細いと矢速は増すがミスが顕著に表れ易く、太い弦は安定した結果をもたらすと言われている。弦の太さはグルーピングをチェックして決める必要がある ――
ブレースハイト
(ストリングハイト)
メーカーの推奨値の範囲内 ストリング(弦)を捩り、ブレースハイトを合わせる 弦からグリップの深い部分までの距離を測定する ――
ティラーハイト>
上リムと下リムのティラーハイトを合わせる リムウエイト調節ボルトを回すとドローウエイトやブレースハイトに影響するのでポンド秤やTゲージで確認しながら行う リムウェイト調節ボルトを回し、上リムと下リムのティラーハイトを合わせる ――
レストの高さ調整
矢がレスト取付穴の中心を通っていること レストの上下調節機構がない場合はレスト取付けボルトを緩めて上下に調節する 矢がハンドルにあるレスト取付穴の中心を通る様にレストの上下を微調整する ――
レストの左右調整
目で見て弓のセンターショットを合わせ、矢が弦と重なって見えるようにする レストの左右位置を調節する 矢がセンターショットと一致するように調整する ――
ノッキングポイント
ノッキングポイントは、矢がレスト取付穴の中心を通り、弦へ垂直に伸ばした位置に来るように付ける。ノッキングポイントはノックに対し0.5mm程度余裕があった方が良い 矢が下を向くように弦にノッキングする。サービングがしっかりとしていれば、矢は弦から落ちず、かつ、指で弦を少し叩くと矢が弦から落ちる程度の固さにする Tゲージがしっかりと弦に取り付けられていることを確認し、ポイントを決める。ノックセットやサービング用原糸、デンタルフロス等の糸を使いポイントを作る。ノッキングポイントができたら、少量のフレッチタイトなどを付ける ――
ノッキングポイントの
チューニング
矢が水平(的に対して垂直)に刺さっていれば良い 的に当たった後に、ノックが上向きになっていたらノッキングポイントを下げ、下向きならば上げる 近射の位置(7m)から水平にベアシャフトをシューティングして、ノッキングポイントの良いところを探す 7m
ピープサイトの取付
ピープの覗き穴を目の高さでに合わせる フルドローの時ピープの覗き穴が横を向くようなら、ボウプレスでストリングを緩め、ストリングをそれぞれの方向に捩り、修正する。 合わせても打っている内に覗き穴の向きがズレてくることがあるので何回かシューティングしてピープの向きが安定していることを確認する ――
スコープサイト
センターショットを見た時にスコープサイトの中心が、ちょうど弦のラインに来るように調節する サイトバーにサイトブロックを付けてスコープサイトを左右に動かして調整する サイトブロックを上下に動かした時にスコープサイトの中心が弦のライン上にきていることを確認する。距離により射形等の影響でサイトを左右に動かさなければならない場合はサイトバーをわずか傾けて使用する場合がある ――
カムの同期確認
フルドロー時、上下のカムのドローストッパーにコントロールケーブルが同時に接触すること ボウプレスでケーブルを緩め、スプリットバスケーブルを捩り、タイミングが同期するように合わせる この確認は、上下のリムボルトを一杯に閉め込んで行う。調整が済んだら、上下のリムボルトを同じだけ戻し、自分が普段シューティングしているドローウエイトに合わせる ――
10 スタビライザー
(センターロッド)
リリース後にセンターロッドが前方(的側)に倒れるようにセティングする 矢が離れていった直後のロッドが一瞬でも上に跳ねていたら、ウェイト不足である ウエイトを追加して重心を前方(的側)に移動させる。また、サイドロッドを短くしたり、Vバーの角度を下向きにする事でも同じ効果が得られる ――
スタビライザー(Vバー)
左右の回転を減らし、振動が手に戻ってくることを軽減 センターロッドのカウンターバランスにもなる サイドロッドの長さを変えたり、Vバーの角度を変えることでセンターロッドのカウンターウエイトにもなる ――
スタビライザー(アッパー) サイトの振動を軽減、手に伝わる振動も減る サイトのネジの緩み等も減る ハンドルの上部にアッパーをつける ――
11 ペーパー
チューニング
矢の穴の大きさは1〜1.5cmほどになれば良い。穴が小さくならないようなら、リリースの問題等があると思われるので、実射してまっすぐ飛んでいる様に見えたら問題はないとする 水平に矢を放つ。斜めに打ち出さないこと。その紙の破れ方を見てノッキングポイントとレスト等の調整を行う ペーパーチューナーのフレームを的から1〜2mほど手前の肩の高さに設定する。2〜3mフレームから離れた位置に立ち、サイトは18m位で行う。このテストを5m以上離れて行っても意味がない 3〜5m
このような穴は理想的である アーチェリー 矢飛びが良い
―― アーチェリー ノッキングポイントを高くする
羽がレストに当たる等の場合も同じような現象になる アーチェリー ノッキングポイントを低くする。羽がレストのアームに当たっていないか確認する。当たっている場合は羽にこすれ跡が付く
右利きの場合、左利きは逆になる アーチェリー レストをわずか左に動かす。それでも改善しないならば、矢のポイントを軽くするか、弓のポンドダウンをする
右利きの場合、左利きは逆になる アーチェリー レストをわずか右に動かす。それでも改善しないならば、矢のポイントを重くするか、弓のポンドアップをする
12 ベアシャフト
チューニング
完成矢とベアシャフトのグルーピングが一致すること より精密にノッキングポイントの高さやレストの左右を決める 的を15〜20mの位置に置き、18mのサイトで、完成矢と羽がついていないベアシャフトを、それぞれ射つ 15〜
20m
ベアシャフトのグルーピングの方が にある場合 ノッキングポイントを高くする
ベアシャフトのグルーピングの方が にある場合 ノッキングポイントを低くする
ベアシャフトのグルーピングの方が にある場合 レストをわずか左に動かす。それでも改善しないならば、矢のポイントを軽くする(スパインを硬くする)か、弓のポンドダウンをする
ベアシャフトのグルーピングの方が にある場合 レストをわずか右に動かす。それでも改善しないならば、矢のポイントを重くする(スパインを柔らかくする)か、弓のポンドアップをする
NO 項目 推奨値など チューニング箇所など チューニング方法など 的迄の距離
13 矢の選定(スパイン) ポンド秤で弓の強さを測り、矢のメーカーのスパイン表に従って決定する 同じスパインの矢が、他と違う場所に当たることがまれにある。グルーピングする矢は試合で使い、中心より離れた場所に当たる矢は、近射などで使う ベアシャフに番号を付け、30mのシューティングで矢のバラツキをチェックをする。 30m
矢の重心(FOC) 望ましいFOCは矢の中心より前方10〜15%であると言われている FOC(%) = (矢の中心から重心までの距離) / (矢の全長)×100

矢の全長=ノックの溝の底からポイントの先端までの長さ
矢の重心はポイントの重さと矢の長さや重さによって決まる。

矢の重心は矢の中心よりも前方になければならない。

矢の中心に重心があると、矢は浮いて外的影響で、本来のコースから外れる。

矢の中心より後方に重心がある矢は使い物にならない(一般的にはこのような事はまず起こらない)。

飛行力学上の重心より後ろに矢の重心があれば、矢は逆さに飛ぶことになる
――
ポイントの重さ FOCが前方10〜15%の範囲内になるように選定する 重いポイントは軽いものに比べ、風に強い。しかし、重いポイントの矢を弱い弓でひくと、矢の弾道が高くなり、風の影響を受けやすくなる。 ポイントの重さを変えることでスパインを少し変える事が出来る。

ポイントを軽くすることでスパインを少し硬くでき、重くすることでスパインを少し柔らかくできる。
――
羽の選び方 矢のサイズや長さ、重さに合う羽を見つける 羽がシャフトのサイズや矢速に合っていない時、矢飛びや的中やグルーピングに差が出る 矢をいくつかのグループに分けて、それぞれに異なった羽を付けてシューティングし、グルーピングを確認する。

羽は取り付け角度を増すと、矢の回転が良くなってグルーピングし易くなるが、空気抵抗を受けるので矢飛びが悪くなる
――
矢飛び 矢は真直ぐに飛ぶのが理想である リリース時に矢がレスト、サイトと接触しないようにする必要がある 弓のセンターショットを正しくチューニングする。チューニングされていないと、わずかなミスでも増幅され、特に風が強い状態の時は影響が大きい。

リリーサーでのリリースが一定でないと。弦の力が矢のノックエンドとポイントに影響を与え、矢は蛇行しながら(パラドックス)飛び、20〜30m飛ぶと蛇行は減少し、真直ぐ飛ぶ様になる。

矢の蛇行する量はリリースの精度によって変化する。リリースが一定でないなら矢飛びは一定せず、グルーピングは望めない
――
14 リリーサーの変更
リリーサーを変えた時は弓のチューニングをチェックする必要がある リリースの状態が変化すると、矢飛びやチューニングの状態が変化する場合がある 新しいリリーサーで必要なチューニングを行う ――
15 チューニングの再確認 時々、使っている矢とベアシャフトを使ってチューニングの状態を確認する 必要に応じて弓のチューニングを行う ベアシャフトが使用している矢と違うところにグルーピングするようなら、再チューニングが必要 ――

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